エルサレム:3つの宗教の聖地(分かりやすく解説!)

哲学・倫理学

こんにちは。よっとんです。

哲学倫理・歴史・心理学、それから本紹介のブログを書いています。

本日は「エルサレムの3つの宗教の聖地」について解説します。

この記事では、

  • ユダヤ教の聖地:嘆きの壁
  • キリスト教の聖地:聖墳墓教会
  • イスラム教の聖地:岩のドーム

について、わかりやすく解説しています。

ぜひ最後までご覧ください!

ユダヤ教:嘆きの壁

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Western_Wall_in_Jerusalem_May_2009.jpgより(Kounosu)

エルサレムにあるユダヤ教の聖地は

嘆きの壁」と呼ばれます。

なぜ「嘆きの壁」なのか?その点も踏まえてみていきます。

アブラハムの息子殺し?

『旧約聖書』の中に出てくるユダヤ人の祖先のアブラハムのお話が嘆きの壁に関係してきます。

アブラハムは他の誰よりも神(ヤハウェ)の教えを忠実に守る者でした。

だから、のちにカナンの地(現パレスチナ)を与えられることになりました。

ただ、神は本当にアブラハムが神のことを崇敬しているか、気になりました。

そこで、アブラハムにあることを試してみることにしたのです。

それが、息子殺しです。

神は「息子のイサクを山の上に連れていき、捧げよ」とアブラハムに言います。

もし、殺そうとすればアブラハムは敬虔な神への信仰者ということになります。

さて、アブラハムはどうしたでしょう。

なんと、アブラハムは神の言う通りに山に登り、そこにあった岩(聖なる岩)の上で息子を殺そうとします。

神は、アブラハムの忠誠心がそれで充分伝わったので、天使を使わして息子殺しを中断させ、

代わりに近くにいた羊をささげることでよしとしました。

これは犠牲の羊にもつながる話です。

さて、この話がなぜ嘆きの壁と関係してくるのか?

次にそこを見ていきましょう。

神殿建設

アブラハムの死後、ユダヤ人たちのもとに天使がやってきて、神殿を建てるようにいいます。

その場所は、なんと先ほどのアブラハムの上った山の上でした。

息子を殺そうとした、かつ羊を犠牲にした岩をかこむ形で、神殿がつくられたのです。

岩の上には契約(十戒)の箱が納められました。

一度、神殿は壊されますが、ソロモン王の時代に第2神殿が建設され、ユダヤ人は少しばかりの繁栄期を迎えていました。

あれ?嘆きの壁は?

と思われたかもしれません。

実は、このあとあのローマ帝国ができます。

ローマ帝国軍の侵略により、先ほど建てた神殿は破壊され

その壁だけが今も残りました

そうです。これが嘆きの壁です。

嘆きの壁の嘆きの由来はそういった悲しい歴史に由来するといわれます。

他には、壁がある地帯は乾燥地で夜になると寒くて露がつきます。

そのため壁が泣いているように見えることから嘆きの壁と言われました。

キリスト教:聖墳墓教会

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jerusalem_Holy_Sepulchre_BW_19.JPGより(Berthold Werner

次はエルサレムにあるキリスト教の聖地「聖墳墓教会」についてです。

ただ、この聖墳墓教会は皆さんご存知のイエス・キリストの墓です。

ユダヤ人であり、ユダヤ教を改革としたイエスはユダヤ教徒によって処刑に追い込まれてしまいます

実際に、刑執行したのはローマ帝国の総督(植民市のトップ)であり、

処刑方法もローマ帝国で行っていた十字架刑(十字架に張り付けて下から刺しまくる)でした。

そのイエスが今の聖墳墓教会の場所で埋葬されたのですが、、、

問題はそのあとです。

なんと3日後イエスの遺体を見に行くと、空っぽになっていたのです。

その事実から、イエスは復活したといううわさが広まっていきました。

実際にイエスが復活して、あちこちで奇跡を起こしているという話も残っています。

はい。

この復活したという事実がとても重要ですね。

なぜ聖墳墓教会が聖地となっているのかは、イエスが埋葬されかつ復活した場所だからです。

死んだだけなら、聖地にはなりませんよね。

逆に言えば、皆さんも死後に復活すればそこは聖地になると思います(笑)

聖墳墓教会はイエスの復活の地ということで今でもキリスト教の聖地となっています。

※そのほか、処刑場まで行く道、処刑後墓までの道も聖地となっています。

イスラム教:岩のドーム

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jerusalem-2013(2)-Temple_Mount-Dome_of_the_Rock_(SE_exposure).jpgより(Andrew Shiva)

最後はイスラム教の岩のドームです。

この地を知るにはムハンマドについて知らなくてはなりません。

皆さんは、ムハンマドという商人をご存知でしょうか。

イスラム教で一番重要な人物です。

彼は神の声を聞いた者です。(これを預言者といいます)

ただ、旧約聖書にも新約聖書にも神の声を聞いた者はたくさんいます(アブラハム・イエスなど)。

ムハンマドの凄いところは「最後にして最大の預言者」であることです。

つまり、神の言葉を一からすべて聞いた者であり、だから神の声を聞く者はこれ以降出てこないことになります。

そして、ムハンマドが神から聞いた言葉をのちに書物にまとめたのが『コーラン(クルアーン)』です。

ムハンマドの紹介はこれくらいにして、岩のドームの話にもどりましょう。

『コーラン』の中に次のような話があります。


あるとき、ムハンマドは大天使ジブリール(ガブリエル)と

メッカ(アラビア半島の都市)からエルサレムへ飛んで一夜で移動しました。

そして、とある岩の上から天にのぼり(昇天)、

預言者オールスターズ(アブラハム・モーセ・イエスなど)に出会います。

そこで、ムハンマドは初めてほかの預言者に会うことになります。

預言者たちから「神の所に行け」と言われ、神のもとへ向かうと、

神は、ここで様々なお告げをムハンマドに与えたといいます。

(※このとき五行の内容も説かれます。例えば、イスラム教徒は礼拝を1日5回することが決まりですが、はじめ神は1日50回礼拝するように伝えました。さすがに多すぎるので、モーセなどが「神に少なくしてもらうように頼め」とムハンマドにいいます。ムハンマドは戻り何度も頼み、最終的は神から「5回の礼拝は50回分の礼拝に相当する」という申し出を受けて1日5回の礼拝が決まりました。)

再度地上に戻ったムハンマドはメッカに戻りました。

さて、岩のドームは何なのかというと、

実は、その昇天したときにつかった岩を取り囲む形でできたドームなのです。

その岩には手or足跡が残っているとか・・・

そして、なんとその場所がイスラム教の聖地となりました!!


ただ、話はこれだけでは終わりません。

「岩」と聞いて何かを思い出した方もいるかもしれません・・・

そうです、アブラハムの犠牲の羊の岩ですね。

一説によれば、その岩とムハンマドの昇天の岩は同じというふうに言われています。

つまり聖地がかぶっちゃってる・・・

地図を見てもらえばわかりますが、岩のドームは、嘆きの壁の向こう側に存在しています。

だから、争いも絶えないのです。

以上、3つの聖地の紹介でした。

まとめ

いかがだったでしょうか。

3大聖地の由来までわかるとエルサレムに対する見え方が変わってくると思います。

そして、このエルサレムという場所が聖地として被ってしまっていることが、

3宗教の争いのもととなってきました。

ただ、歴史的な事実(聖書の事実)は変えることは難しいですので、何とか融和の方向へ動いてほしいものです。。

ここまでご覧いただきありがとうございます。

最後に参考文献を載せておきます。

ぜひご覧ください。

『ビジネスパーソンのための教養としての世界三大宗教』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
中村 圭志 (著)

『池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界』 (集英社文庫) 池上 彰 (著)

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