こんにちは。よっとんです。
歴史・倫理哲学・心理学、それから本紹介のブログを書いています
今日は「最近の研究で分かった!田沼意次の革新的な政策とは?」という話です。
この記事を読めば、
- 田沼意次の重商主義の画期的な点は?
- 田沼意次が行った貿易推進政策とは?
について理解できます。
とても分かりやすく書きましたので、ぜひ最後までご覧ください
画期的な点1 重商主義的政策
田沼政治で一番有名なものは「重商主義」的な政策を行ったことです。
江戸期には享保・寛政・天保の三大改革が実施されますが、そのどれも重商主義には基づかない政策でした。
すなわち、「農業主義」です。(あるいは重農主義的政策)
幕府の税収は米でしたので、農民の活動を活性化(新田開発・技術改良・肥料の改善など)させて、幕府の税収upさせる、それが重農主義的な政策です。
また、武士は商業を嫌う(利益をとることを嫌う)というのも一つの理由でした。
江戸期の主な思想である朱子学でも「利をとること=卑しい」と考えられていましたので、商人が蔑まれることも日常茶飯事でした。
しかし、田沼は前例にはなかった重商主義的な政策で幕府の税収をupさせようと考えたのです。
現代では消費税とか法人税とか税金としてとりますが、当時はそういうものはありませんでした。
さらに、農民たちから税を取り上げるのにも限界がありますので、
じゃあ「商人からとればいいじゃないか」と考えたのが田沼意次なのです。
どうやってやったのかというと、
簡単にいえば次の2点です。
- 商人の活動を活発化させること
- 商人側から税を吸いあげること
まず、商人の人たちに営業の特権を与えて、仲間をつくらせます(株仲間の奨励)。
その仲間たちが営業をする代わりの上納金(「冥加」といいます)と、営業税(「運上」といいます)を幕府はもらうのです。
株仲間たちも自分たちだけが営業をできる特権をもらえ、
幕府も税金がはいる・・・まさにウィンウィンの関係でした!
こうした状況をみた商人たちは、
「俺も、俺も!」とどんどん組合を作り出します。
しまいには、米以外銅や真鍮などでも銅座・真鍮座のような同業組合をつくられました。
そうして商売はどんどん繁盛し、幕府は税金を得て潤うようになったのです。
めでたしめでたい・・・
とはならないんですね。
商人と幕府の役人が密接に結びついてしまったこと
これがある問題を浮上させます。
それが、賄賂です
株仲間A「これだけのお金をあげるので、うちの商売だけもっと特権をくれないですか?」
幕府の役人B「おぬしも悪よの~。」
みたいなやりとりが増えました。
当時の儒学的な思想をもつ武士や庶民はこういう悪(賄賂)を嫌います。
田沼は賄賂の横行によりかなり批判されることになるのでした。
(田沼が賄賂を行なっていたかは定かではないですが…)
※実は松平定信が将軍になれなかったことを恨んで、田沼意次を批判したものが広まったという説もあります。
画期的な点2 対外貿易の転換と拡大
田沼の画期的な点、二つ目は対外貿易の転換と拡大をはかったことです。
どういうことか?背景とともに説明します。
元々江戸時代初期は金が佐渡で取れたり、銀も世界の3分の1を保有するなど
かなり幕府の鉱山資源(つまり金)は潤っていました。
しかし、江戸中期頃までに金銀を掘りつくしてしまい・・・
また、その金銀でたくさんの物を輸入してしまったので、幕府の金銀財政はピンチを迎えていたのです。
6,7代に仕えた新井白石は長崎貿易を制限して、金・銀流出を抑制しようとしましたが、これでもいつかは限界が来ます…
さて、田沼意次は何をしようとしたのか?
「金・銀が無いなら取り戻せばいいじゃん!」
発想の転換ですね(笑)
田沼は、俵物(干した物(いりこ・干し鮑・ふかひれ)を俵にいれた物)を輸出し、金・銀を取り戻すという政策を行いました。
さらに、田沼の政策はそれだけではとどまりません。
医者の工藤平助の『赤蝦夷風説考』を読んだ田沼は、
貿易拠点を増やすため、ロシアと貿易しようとしました
※途中で田沼が退陣してしまい、結局は頓挫してしまうのだが・・・
加えて、最上徳内を蝦夷地(北海道)に派遣し、開拓の可能性を探らせました。
日本国内に金がないなら、外から持ってくるという発想が素晴らしいですね。
これが田沼の画期的な点の2つ目でした
まとめ
田沼意次は賄賂のイメージがどうしてもありますが、
従来の将軍や老中とは異なる重商主義的な政策を行った田沼は、最近の研究ではすごい人だったのでは?
となっています。
この記事で少しでも田沼の印象を変えてくださればと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
参考文献を載せておきます。ぜひご覧ください!
『面白すぎる!日本史の授業――超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす』河合敦 (著), 房野史典 (著)
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