こんにちは。
歴史・倫理哲学・心理学、それから本紹介のブログを書いています。
今回は鈴木祐さんの著作『YOUR TIME』より「もう時間術には悩まない!」という記事です。
皆さんの中には、
・「いろんな時間術を使っても続かない!」
・「いつも時間に追われている・・・」
このような悩みを持つ方は多いと思います。
そこで今回の記事では、以下の疑問にお答えします。
①なぜ時間をうまく使えないのか?
②人の特性に合わせた最良の時間術とは?
ぜひ最後までご覧ください。
★『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(著書:鈴木祐)
なぜ時間をうまく使えないのか?
「時間を効率よく使いたい!」
というのは誰しもが思ったことがあると思います。
そこで、思いつくのは様々な時間術です。(いわゆる効率化のためのツール)
- to doリスト
- カレンダーへ書き込む
- タイムログ(時間の記録)
- イフゼン・プランニング(「~したら○○する。」例:自宅に着いたら手を洗う。手を洗ったら~)
などなど。
しかし、残念ながら、これらの時間術は多数の人にとって「仕事の効率を下げてしまうツールである」と科学的に証明されています。
ここで、多くの方は反論されるかもしれません。
「いやいや、to doリストで時間を効率よく使えているぞ」など。
確かに先に挙げた時間術が効く方もいます。
しかし、大半の方の場合は時間の効率を上げているだけで、作業の効率を下げてしまうのことになっています。
言い換えれば、時間をうまく使えているような感覚に満足し、創造性や生産性はむしろ下がっているということです。
例えば「to do リスト」は、一度あげた「to do」をこなすことに注力してしまい、
途中で一度立ち止まって思考したり、改善したりすることをしないようになります。
これでは生産性はむしろ下がってしまいます。
「to do リスト」は、脳内にある複雑な選択肢を表面化することで、脳内の煩雑さをリフレッシュするというメリットはあります。
これにより不安はなくなり、幸福度はあがります。
しかし、幸福度はあがっても、作業の効率化には直結しているわけではないのです。
では、時間をうまく使いこなすにはどうすべきか。
それを知るには、そもそも時間の正体を説明しなくてはなりません。
※次の項は概念の説明になります。
もし、時間術だけを知りたい方は「人の特性に合わせた最良の時間術とは?」へどうぞ。
時間の正体とは?
「時間とは何なのか」
この難しい問いに『YOUR TIME』(鈴木祐著)では一つの答えを提供してくれます。
それは、「時間とは世界の変化率である」というものです
詳しく説明します。
私たちは時間に対して、以下のような表現をします。
・時間は過去から未来に向かって進む
・過ぎた時間は二度と戻らない
・今年は1年の進み方が速い
などなど。
このように私たちはあたかも時間を体験しているかのような表現をします。
しかし、よく考えれば不思議な話です。
視覚・聴覚というような、時間を感じる感覚器官はどこにもありません。
物理的な性質を持たない時間を感じることができます。
この正体は一体何なのか?
それは、「確率」である、というのが『YOUR TIME』での結論です。
人間の脳には常に「確率を見積もる機能」が備わっています。
例えば、がれきの山が目の前にあるとします。その時以下のような確率を無意識に見積もります。
・「(以前の記憶から)このがれきの山はきっと建物が壊された跡だ(という確率が高い)」
・「(周りに人がいないということから)このがれきの山は当分はここに放置されるだろう(という確率が高い)」
このような形で私たちはあらゆる確率を常に計算しながら生きています。
例えば先ほどのがれきの山の近くに実はクレーン車があることを発見したら、
「このがれきの山は近いうちに撤去されるかもしれない(という確率が高い)」と修正します。
もちろん、意識的にやっているわけではないのでほとんどの場合は気にしてはいないと思いますが、
この確率計算能力があるからこそ人間は生存競争に勝てたとも言えます。
・「あの場所にはライオンがいそうだ。だから回り道をしよう」
・「以前このキノコを食べた人が病になった。だからこのキノコは食べないようにしよう」
などと確率を計算して、人間は危機を回避してきました。
では、この確率と時間はどのような関係にあるのか。
それは、私たちが体感している時間の正体は、この確率でしかないということです。
私たちが時間として体感しているものは2つあります。
①過去=いまの状態の前に発生した確率が高い変化を、脳が「想起」したもの
②未来=いまの状態の次に起きる確率が高い変化を、脳が「予期」したもの
先ほどのがれきの山の例でいえば、
そこであなたは以下のように考えます。
「(以前の記憶から)このがれきの山はきっと建物が壊された跡だ(という確率が高い)」は①
「(周りに人がいないということから)このがれきの山は当分はここに放置されるだろう(という確率が高い)」は②ということです。
そして、正しい時間術とはこの「想起」と「予期」を調整することなのです。
例えば、あなたが先ほどのがれきの山を見て
「(以前テレビでがれきの山がテレポートしたのを見たので)このがれきの山はある場所からテレポートしてきたものだろう」と推定したり、
「このがれきの山は10秒後には地面の中に埋められるだろう」と推測したりした場合は、
かなりのズレが生じていることになります。
これは極端な例ですが、時間術の場合にもこのようなズレが生じます。
例えば、実際には3時間かかるような予定を「想起のズレ」から1時間に想定してしまうことが起こります。
逆に「予期」のズレにより、夏休みの宿題で最後まで残してしまう人、将来のために運動ができない人などがいます。
このように「想起」・「予期」にはずれはつきものです。
そして、人によって傾向性が異なります。
自分の「想起」と「予期」の傾向性を理解し、それに応じた時間術を駆使する、
これが正しい時間術ということになります。
人の特性に合わせた最良の時間術とは?
人にはそれぞれの「想起」と「予期」の傾向性があります。
具体的には、以下の①~③のそれぞれのタイプがあります
①「想起」の誤りが大きい人・(小さい人)
②「予期」が薄い人・濃い人
③「予期」が多い人・(少ない人)
そして、それぞれのタイプに応じた傾向を修正することが有効的な時間術となります。
以下それを紹介します!
※『YOUR TIME』(鈴木祐著)ではもう一つ、「想起」が肯定的・否定的すぎる人というのもありますが今回は割愛します。
また、当書では傾向性を知るテストがきちんと用意されていますので、そのテストを受けたい人はぜひ当書をお読みください。
「想起」の誤りが大きい人
まずは「想起」の誤りが大きい人です。※小さい人は特に問題はないです
例えば以下のような人が当てはまります
・1か月は必要な事業に、2週間で終わったはずと思いこんでしまう
・過去の失敗をうまくいかすのが苦手だ。
基本的には楽天家に多い傾向です。
簡単な仕事、楽しい仕事などばかりを記憶し、困難な仕事、時間のかかる仕事を頭から排除してしまうので、非現実的な計画を立ててしまいます。
この場合の対策法は、「タイムログ」です。
「タイムログ」のやり方
★1週間分の時間・行動・効果を記録する
※時間は10分または15分単位で記録、効果は時間をうまく使えたかを指し、A~Cで評価します
「タイムログ」はなるべく具体的に記録しましょう。
仕事のみならず料理、掃除なども記録するようにするとよいです。
「予期」が薄い人
「予期」が薄い人・濃い人とは、見積もりが甘いかどうかにかかわるものです。
見積もりが甘い人は「予期」が薄いといえます。
逆に、計画に融通の利かないタイプの人は「予期」が濃いといえます。
「予期」が薄い人は以下のような例が当てはまります。
・定期テストの計画を立てることができない。
・将来の健康のことを思うと運動をすることは大事だとわかっているができない
そんな「予期」が薄い人の対策法は、「タイムボクシング」です。
タイムボクシングとは、時間を区切る(ボックスに入れる)計画の立て方のことを言います。
16:00~17:00:「ブログを書く」
のような計画の立て方です。
以下、やり方を簡潔に説明します。
「タイムボクシング」のやり方
①適切なタスクを探す
②作業の目標を設定する(何を達成したいのか、いつまでに達成したいのか)
③逆算で時間を設定する(いつ始めるか、いつ終わるかを設定する)
「タイムボクシング」のポイントは2つ
・時間設定を具体的に行う(例:タスク「5000字のブログを書く」→経験から1時間2500字書けることを知って入れば、2時間分のボックスを設定する。)
・時間内で終わらない場合も必ず時間通りに終了する
あくまでも「予期」の薄い人用の対策ですので、以上の2つを必ず守りましょう。
特に時間の見積もりを甘くしてしまい、結果的に設定時間後もだらだらと継続しては無意味です。
「予期」が濃い人
「予期」が濃い人は将来の自分とのずれがないので、基本的に計画の立てるのが上手です。
しかし、難点としては融通が利かないことです。
例えば以下に当てはまる人は該当者です
・仕事ばかりで趣味を楽しんだり、友人と会う時間がない
・ゆっくりと休める時間がない
このような人にとっての対策は「プレコミットメント」です。
これは、先に遊びの予定を入れておくというものです。
なるべく、キャンセルできない形にしておくのが効果的です。
キャンセル料金が高かったり、人数をたくさん呼んだりすると良いです。
あくまでも仕事ばかりで疲れてしまう人用です。
試してみてください!
「予期」が多い人
「予期」が多い人も問題です。
将来のイメージが溢れすぎてしまう人です。
具体的には
・「掃除をしたあとは、ふろを入れて、ご飯をつくって、、あっコンビニにもいかないと」など次々のイベントを詰めちゃう人
・ダイエットのために運動しようと思ったが、食事制限やサプリを飲む方法なども頭の中にともに舞い込んできてしまうような人
多くの選択肢が脳内にあるとそれだけで脳はオーバーヒートしてしまいます。
そのような人にとっての対策はSSCエクササイズです。(S=STOP,START、C=CONTINUE)
やり方の簡単な説明は以下の通りです。
以下、やり方を簡潔に説明します。
「SSCエクササイズ」のやり方
①タスクのリストアップ
②SSCクエスチョン(以下4つの質問を5点で評価)
- 社会的な価値はあるか?
- 緊急性は?
- 個人的な価値は高いか?(お金を持っていてもやりたいことか?)
- 他人には譲れない?
③価値が低い仕事の特定と分類(放棄してもよい?委任してもよい?価値の高いものに修正できる?などに分類)
③の分類をすることで、本当に価値あるものにリソースを注ぎ込むことができるようになります。
予期が多い人はぜひ実践してみましょう。
以上がタイプ別の時間術でした。
まとめ
『YOUR TIME』(鈴木祐著)のまとめると以下のようになります
・時間の正体とは、「世界変化の確率計算の結果」である
・時間術とは、確率計算(「想起」と「予期」)を調整することである
→自分の「想起」と「予期」のズレを確認し、それを修正する時間術をそれぞれ使い分けるべし
今回は、ズレの確認を知るためのテストはご用意していません。
ですので、知りたい方はぜひ『YOUR TIME』をご覧になってください。
そのほか『YOUR TIME』では効率化から解き放たれるための考え方や手法、
それから時間不足を無くす考え方も書かれています。気になる方はチェックしてみてください。
★『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(著者:鈴木祐)河出書房新社
ここまでご覧いただきありがとうございます。
他にも様々な本を紹介しています。ぜひご覧ください。
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