初期仏教と大乗仏教の違い【分かりやすく解説!】

哲学・倫理学

こんにちは。よっとんです。

哲学倫理・心理・歴史、それから本紹介のブログを書いています。


今日は釈迦の説いた仏教と大乗仏教の違いについてお伝えします。

  • ・仏教ってそもそも何?
  • ・「南無阿弥陀仏」が仏教でしょ?
  • ・仏像に拝むのが仏教だよ
  • ・仏教は輪廻転生でしょ

などいろいろな形をもつ仏教についての全体像が分かるようにつくっています。

ぜひご覧ください。

釈迦の仏教と大乗仏教は全然ちがうもの?


釈迦が説いた仏教と大乗仏教は実は・・・

全く異なるものなのです!


簡単にまとめると・・・

・大乗仏教特有の他力の考えは釈迦の説いた仏教ではない。
・大乗仏教特有の利他行も本来の釈迦の仏教とは異なるものである

となります。詳しく以下でみていきましょう。

釈迦の仏教について


仏教の開祖ゴータマ=シッダッタ(ガウタマ=シッダールタ)は釈迦族の王子として生まれました(※彼のことを釈迦ともいう理由はここにある、以下「釈迦」と呼びます)。
釈迦が説いた教えは

「出家して修行に励み、煩悩を消し去ることで、涅槃に至ろう」

というものです。涅槃とはサンスクリット語で「ニルヴァーナ」といい、「ろうそくの火が消えた状態」を意味します。
 そこから、「煩悩を断ち切った平安な状態」のことをいいます。煩悩を断ち切ることは、苦しみの連鎖である「輪廻」から解脱を意味します。

詳しくは「シッダッタの仏教について」で解説してますので、そちらをご覧ください!

さて、ここで重要なのは、
釈迦が説いた仏教はあくまでも
「自分を救うための教え」(自力救済)なのです。

「他人を救いましょう」ということや、
仏さまに救ってもらおうなどの「他力」の考えはない
ということです!ここがPointですね。

ちなみに釈迦の説いた教えがそのまま伝えられているといわれている
原始経典は『ニカーヤ』(「阿含経(あごんきょう)」)というものになっています。

大乗仏教とは?

続いて、大乗仏教はどのようなものか、見ていきましょう。

大乗仏教は釈迦の入滅後の紀元前後に起こったと言われています。

釈迦の仏教は「自分で出家して修行をし、煩悩を絶つ」というものでした。
しかし、当時の人々の全員が出家をして修行生活を送れるわけではありませんでした。一般の人々にとって出家することはハードルが高かったのです。

そんな中、仏教は「選択肢の多い宗教」へと変わっていきました。
選択肢を増やすことで、多くの民を救おうとしたのかもしれません。

ただ、釈迦の仏教の形がすべてなくなったわけではなく、
中には上座部仏教のように「自力救済」を主とする仏教も残りました。
上座部仏教に関しては、詳しくは下のリンクからどうぞ!

さて、大乗仏教の特徴に戻りましょう。

大乗仏教は「選択肢を増やした仏教」といいました。
だから、「大乗仏教=○○という教え」と一概にいうことは困難です。

大乗仏教には、

  • 「空」の理論を提唱する中観派(経典は主に『般若経』。日本では南都六宗の「三論宗」などが有名)
  • 「南無阿弥陀仏」といえば(※「口称念仏」という)救われるよ(正確には阿弥陀如来が救ってくれるよ)という「浄土宗」「浄土教」系のもの(経典は主に浄土三経)
  • 「南無妙法蓮華経」という(唱題)すれば救われるよという法華宗(日蓮宗)系のもの(経典は『法華経』)
  • 「坐禅」こそが大事という禅宗系(日本で有名なのは臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)
  • 「三密」(身密・口密・意密)を行い、大日如来と一体化することで、「即身成仏」(生きたままその身のままで成仏)をしましょうという密教系(日本では空海の真言宗、あとは天台宗が有名)
  • 戒律を守ることこそが大事という「律宗」
  • 毘盧遮那仏と一体化しようという「華厳宗」

など沢山の宗派があります。経典の数は数百にも及びます。
※それぞれの宗派の解説もありますので、以下のリンクを参照ください


大乗仏教では、釈迦の仏教とは違って
「他力」(自分の力ではなく、神秘的なもの、仏に救ってもらう)という考え方が加わりました。
例えば、
大乗仏教では、多くの「如来」(簡単に言えば悟りを完成させた者、仏陀というのもほぼ同じ意味である)をつくりだし、
中には「阿弥陀如来」(阿弥陀仏)のようなその名を唱えるだけで、
極楽浄土に導いてくれる如来も登場しています。
念仏とは主にこの阿弥陀如来(阿弥陀仏)の名を唱えることを指します。
※そのほか、仏の姿や浄土をイメージする「観想念仏」なるものもあります。詳しくは浄土教・浄土宗についてで説明してます。

念仏という簡単な他力の修行も、釈迦の仏教にはありませんでした。

また、「六波羅蜜」という庶民でも行える6つの修行では、
他人の救う修行、即ち「利他行」に重きが置かれています。

このように、大乗仏教は本来の釈迦の仏教とは異質なものとして展開されていきました。

まとめ

まとめましょう。

・釈迦の仏教は「自分で煩悩を絶ち、涅槃に至るという自力救済」の教え
・大乗仏教は「自力だけでなく、他力の考えをつくった仏教」

ということになります。
大乗仏教は釈迦の仏教の自力型以外の宗教を足すことで
衆生(生きとし生ける者すべての存在)を救う道をつくったのです。

間違ってはいけないのは、
どちらかが「正しい」ということではありません。
どちらも仏教ですし、
仏教の偉大なところはその「寛容さ」にあると思います。

以上、簡単ではありますが、釈迦の仏教と大乗仏教の違いについてでした。

大乗仏教それぞれの宗派の詳しい内容は以下に載せておきますので、
参照してください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

【参考文献】

『大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか』(著:佐々木 閑)NHK出版新書

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